みをつくし献立帖

高柴です


高田郁さんの「みをつくし献立帖」を買いました。
※郄(タカ)の字がケータイなどでは表示されないので高を使わせていただきます。

みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)

みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)

文庫サイズで助かりました。大きいと収納場所に困りますから。
実は、レシピかぁ…買わなくていいかなぁと思っていました。澪と野江の幼き日の思い出を描いた特別短編付きと知るまでは。野江ちゃんが見られるならたとえ2ページの短編でも買います(笑)実際は30ページある短編でした。
野江ちゃんファンとしては大満足!本編でも出てきた貝合わせの蛤の貝殻のエピソードを混ぜつつ、二人の未来を暗示する話でした。


この話の中で、二人がお菓子を食べて
「美味しいなあ、澪ちゃん」
「美味しいなあ、野江ちゃん」
と言い合うシーンがあります。
思わず涙が出ました。
二人がいつかまた「美味しいなあ」と言い合って微笑む日がくるのかな、と。そう思うと切なくて。
「美味しい」というのは、一番簡単にリアルタイムで人と共感しあって口にできる言葉だと思います。大好きな人たちと美味しいねと言い合って食べると本当に美味しいし幸せですよね。


短編もよかったですが、レシピの間に挟まれた作者の内緒噺という名のエッセイも面白かったです。意外な登場人物の子孫の方からの手紙の話には感動しました。新旧つる家の間取り図にはなるほどこうなっていたのかと納得。
エッセイで野江ちゃんを澪と同等に扱ってくださっていたのがすごくうれしかったです。名前の由来と身長体重がどちらも二人一緒に紹介されていました。高田さんは登場人物それぞれの姿をスケッチブックに描いていらっしゃるそうです。ぜひ一度見てみたいですね。
高田さんの人柄がよく表れたエッセイだったと思います。
ちなみに、これからの展開に関するヒントみたいなものは一切ありませんでした。残念!




高柴