当世白浪気質

高柴です



今日は大好きな漫画をご紹介。杉山小弥花さんの「当世白浪気質」全3巻です。

当世白浪気質 1 東京アプレゲール (ボニータコミックスα)

当世白浪気質 1 東京アプレゲール (ボニータコミックスα)

白鶴から1巻を借りて読んだら面白すぎてもう矢も楯もたまらなくなって本屋さんに走っていって2巻と3巻を買った思い出の漫画。今では3巻全部揃えています。白鶴が熱心にオススメしてくれたので、わくわくしながら読んだのですが、想像以上の面白さでした。さすが白鶴です。
しかし残念なことに他の友人たちの反応は普通。なーんーでー??こんなに面白いのに。
ストーリーは
戦後間もないころの東京、腕のいい(?)泥棒の虎之助はシベリア帰りの27歳。仕事で遠出したところ、とあるド田舎でバスに乗り間違えてしまい山奥の閉鎖的な村の地主の家に招かれる。その家の当主で一族でただ一人の生き残りは15歳の少女真神千越(ちお)。実は真神家は代々地主兼その土地の生き神として祭られている家で、千越も村を守るために山神の使いとして信仰されている狼の生贄になる運命にあった。村と村人の様子からそのことを察した虎之助は、千越を死なせたくないと思う。
なりゆきで千越を村から「盗み出した」虎之助は、彼女と共同生活を始める。虎之助は美術専門の泥棒で、美しいものに惹かれる傾向がある。千越の美しさは芸術的であり、彼女の生き神としての不思議な能力は神秘的であったが、浮世離れしているとはいえやはり少女であることに変わりはなく、虎之助は千越によく振り回されることになる。
物語は1話完結で、毎回虎之助が狙う「お宝」をめぐっていろんな事件が起こるというもの。しかし少しずつ全体の話も動いていく。全体の話の流れは虎之助と千越の関係性の変化と、2人の成長。特に千越の「神」から「女の子」へ変わっていく過程の描き方はとても丁寧。虎之助は千越をひとつの完璧な芸術品としてそばに置きたいという気持ちとひとりの女としてそばにいてほしいという願いの狭間で悩みつつ答えを出していく過程に焦点をあてられている。一応ラブストーリーです。
主役2人はとても魅力的で大好きなのですが、彼らの周りのキャラも魅力的。虎之助の元弟分である東一(とういち)は、真面目で仕事ができる男前の天然タラシ。だけど超器用貧乏なのが私好み(笑)虎之助の父親代わりとその息子の父子も文句のつけようがないキャラ。特に息子の麟太郎(りんたろう)は千越の3つ下で登場時は子供だったのに、最終巻では成長してイケメンになってて素敵。虎之助が大好きで、最初は虎之助をめぐって千越と争うのもかわいいのです。まぁ彼は結局兄代わりの虎之助と東一の影響をきっちり受けて超天然タラシになる運命なのですが(作者のブログの4コマ参照)
そのほか虎之助の幼馴染のお坊さんとか行きつけの喫茶店のママの礼子さんとか良いキャラが多いです。
しかしこの漫画の一番の魅力は考え抜かれたセリフの数々。
ひとつひとつのセリフが素晴らしいのです。丁寧に丁寧に納得できるまで作者は言葉を探したんだろうなと想像できます。基本的に理屈をこねまわすような言い回しとか好きなので、私好みなんだと思います。
理屈こねる現実の男の人は嫌いなのにどうして本や漫画のセリフだと好きなんだろう…。

ともかく、オススメの漫画です。好みは分かれそうですが、私の好みど真ん中の漫画なので、ファンが増えてくれたら嬉しいですね。



高柴