うた恋い。

高柴です


ブログ書くの久しぶりです。とっても元気に毎日を過ごしているのですが、最近なかなか本を読めず。今まではそういうときは過去に読んだ本の感想を書いたりしていたのですが、そろそろネタ切れです(笑)なかなか内容までしっかり覚えている本って少ないですよね。そう思ったので備忘録代わりにブログを始めたという経緯があったりします。けっこう便利です。


さて、今日ご紹介するのは漫画「うた恋い。」

超訳百人一首 うた恋い。

超訳百人一首 うた恋い。

ちょっとお値段高めなのが残念なのですが、面白いです。
百人一首の中の恋の歌が詠まれたときのエピソードが描かれています。
この巻で取り上げられている歌は七首(エピソードは六つ)


“ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは”
在原業平が藤原高子に贈った歌として紹介。
美しい歌ですよね。恋の歌として詠んでもやはり美しいなと思いました。


“筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて ふちとなりぬる”
陽成院が綏子内親王に贈った歌として紹介。
この二人のエピソード、史実通りなのかどうかは私は知りません。が、めちゃくちゃ良かったです。この歌がこんなに素敵な意味を持っていたとは知りませんでした。歌っていいなぁとしみじみ思いました。


“君がため をしからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな”
藤原義孝源保光の娘に贈った歌として紹介。
比較的意味が分かりやすいので、子供のころすぐに覚えられた歌です。でも、本当にこれを詠んだ人が薄命だったと知りぐっときました。ストレートに想いをぶつけているところをみると、漫画のとおり、芯のしっかりした人だったのかなと想像したりします。


“めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな”
紫式部の幼なじみの女性への想いの歌として紹介。
紫式部のイメージが180度変わってしまいました(笑)でも、本当はこんな感じの目立つことが嫌いな大人しい地味な女性だったのかもなと妙に納得。大好きな幼なじみへの紫式部の想いと源氏物語の執筆エピソードが綺麗にリンクしていて楽しかったです。


“今はただ 思ひたえなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな”
藤原道雅当子内親王に贈った歌として紹介。
歌の通り、悲恋。悲恋エピソードは珍しくないのですが、やはり許されない恋というのは悲しいですね。登場人物の中では一番好きなカップルなだけに、残念でした。当子が可愛くて、読んでいる間は楽しかったです。


“玉のをよ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする”
式子内親王
“来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ”
藤原定家
斎院を務めた内親王であるため、生涯独身であることがほぼ決まっていた式子内親王と定家の恋愛ごっこ遊びの中で生まれた歌として紹介。
またまた許されぬ恋。定家のキャラがコミカルで面白かったです。



やっぱり短歌って好きだなぁと思いました。千年の間、ずっと愛されてきたってすごいことですよね。
この漫画の中で紹介されているエピソードや歌の解釈は史実通りなのか正解なのか知りません。でも、千年も前の話なんだから、いろんな可能性があるはず。その中でとても素敵なエピソードを描いてくれた作者に私は感謝したいと思います。



高柴