快傑ゾロ

高柴です



さて、今日のタイトルを見て苦笑いした方、いつもこのブログに来てくださってありがとうございます。

……そんな奇特な方がいらっしゃるのか謎ですが。

私は快傑ゾロというアニメが大好きで、しょっちゅう溢れる愛を書きつづっていますがまだ小説の紹介をしてなかったことに気付きました。
ジョンストン・マッカレー原作の「快傑ゾロ」。訳は井上一夫氏と広瀬順弘氏があり、私は1969年の旧版と2005年新装版の井上氏の本と広瀬氏の本つまり計3冊持っています。ちなみに現在は絶版。なんですぐに絶版になるんだろう…。
というわけで、ゾロを知らない方にあらすじをご紹介。

快傑ゾロ 【新版】 (創元推理文庫)

快傑ゾロ 【新版】 (創元推理文庫)


舞台は18世紀後半のまだスペインの植民地だったころのカリフォルニア。
その南部にある小さな町ロス・アンゼルスの酒場で、砦の軍人、ゴンザレス軍曹は今日も大酒を飲んで大言壮語していた。そこへその土地一番の大地主にして権力者であるベガ家の御曹司ドン・ディエゴがやってくる。男前で健康で、使いきれないほどの大金持ちというとんでもなく恵まれた男だが、荒っぽいことが大嫌いで美しい女性にも恋にも興味がない、ベガ家の意気地なしのぼんくら息子と評判で、なぜか大ボラ吹きの軍曹と仲が良い。軍曹と最近話題の覆面の盗賊にして賞金首のゾロの話になるが、ドン・ディエゴは血なまぐさい話は聞きたくないと言って買い物をすませると帰ってしまう。その後も軍曹は調子よくゾロと対決したらいかに鮮やかにやっつけてやれるかとしゃべっていたが、なんとその最中にゾロが現れる。当然、ゾロに挑むがまるで歯が立たずあっさり負けてしまう。大恥をかかされ、怒る軍曹を、その後再び酒場に戻ってきたドン・ディエゴがからかう。
次の日の朝、ドン・ディエゴは珍しく馬に乗って遠出をする。行き先はドン・カルロス・プリドの屋敷。ドン・カルロスは、政治的な失敗のせいで富と権力を奪われ、名門プリド家はすっかり没落していた。
ベガ家の人間の訪問に喜ぶドン・カルロスは、さらにドン・ディエゴから娘のロリタを妻に迎えたいと言われて有頂天になる。しかし父親に早く嫁をもらえと叱られてしぶしぶやってきたドン・ディエゴは娘を口説くことに熱心ではなく、ロリタを前にして失言を連発し、彼女を完全に怒らせてしまう。慌てるプリド夫妻としょんぼりするドン・ディエゴ。
ドン・ディエゴの訪問のあと、両親から彼との結婚を強くすすめられ悩むロリタの前にお尋ね者のゾロが現れる。彼女は驚き恐ろしく思うが、ゾロは紳士らしく振る舞い、彼女の美しさを讃える。
ゾロとのやりとりは短いものだったが、ロリタは彼の男らしさを好ましく思う。
その夜、プリド家が夕食をとっていると突然ゾロがやってくる。ドン・カルロスは自分の立場を守ろうと召使にこっそりゾロが来たことを砦の軍人たちに知らせるように命じ、自分は必死になってゾロをひきとめる。ロリタと2人きりになったとき、貴女にもう一度会いたくて来たと告げるゾロにロリタは困惑しつつも惹かれていく。
そこへ軍人たちが到着し、ゾロは逃げる。その後遅れて砦の司令官レイモンが到着。レイモンはプリド家でゾロを追った部下を待ちながらゾロの悪行を並べたて、自分なら簡単に勝てると断言する。するとゾロが再び突然現れ、レイモンと一騎打ちに。結果はゾロの圧勝で終わる。ゾロは今度こそ丁寧に挨拶をして去っていく。
その直後、プリド家を心配したドン・ディエゴが訪ねてくる。1日に2度も馬を走らせてやってきたことに一同は驚く。ドン・ディエゴはレイモンのロリタを見る目を気にする素振りをみせる。彼のにらんだとおり、レイモンはロリタに一目惚れをし、ドン・カルロスに求婚の許可を求めていた。
彼らが引き上げた後、ロリタはレイモンの求婚の話を両親から聞かされるが目つきがイヤだと拒み、お尋ね者のゾロを好きになってしまったことに気付く。
次の日。
プリド家にドン・ディエゴから手紙が届く。またプリド家にゾロが現れたら危険なので、しばらく自分の家に滞在してほしい。自分はしばらく仕事で家を留守にするから、自由に使ってくれたら良いという内容で、ドン・カルロスはベガ家との親交の深さを周囲にアピールし、また娘にドン・ディエゴの財力を見せるチャンスだと申し出を受ける。
ドン・ディエゴの屋敷は素晴らしく、ロリタも少し心が動く。ドン・カルロスは狙いどおり町の有力者たちにベガ家とこれから結ばれるであろう縁組みをちらつかせ、彼らから歓迎される。さらに夫妻でその中の一人に招待される。夜、夫妻が出かけた後、レイモンが突然ベガ家にやってきてロリタに言い寄り、拒絶される。怒ったレイモンは彼女を侮辱するが、そこへゾロが現れる。レイモンに謝罪させ、追い出した後ゾロは彼女に想いを告げ、彼女もそれに応える。
そのころ、怒り心頭に発したレイモンは、プリド家を破滅に追いやろうとカリフォルニア総督にプリド家の嘘の告発文を送っていた。
帰宅したドン・ディエゴは留守中のレイモンの無礼な振る舞いについて聞かされるが、いまいちロリタの望むようなリアクションが取れない。ますます株を落とすだけの結果に終わり、プリド家は帰宅する。
その後、ドン・ディエゴが酒場でぼんやりしていると友人のフェリペ修道僧が役人に捕らえられてやってくるのを見かける。驚いた彼は友人の裁判を傍聴するがそれはとんでもない茶番劇だった。ぼんくら息子もさすがに怒りを感じる。
その後、彼は父親のドン・アレハンドロの屋敷に向かう。父親になんとか結婚にもう少し猶予をもらいたいと頼み、父の屋敷で何日か静かに過ごそうと思っての訪問だったが、逆に父親から3ヶ月以内に妻を迎えるように厳命される。できなければ財産をすべて寄付すると言い渡され、さすがにあせるドン・ディエゴ。
そんなやりとりが終わるころ、騒がしい若者たちの一団がやってくる。聞けばゾロを追っているという。主人のドン・アレハンドロと繊細な神経がもたないとなげくドン・ディエゴに、彼らは訪問理由を説明する。
どうやら、フェリペ修道僧のでたらめな裁判のあと、嘘の証言をした人間や裁判長をゾロが懲らしめたらしい。ちょうど砦の軍人たちは出払っており、暇をもてあましていた周辺の有力者の子息たちが遊び半分でゾロを追うことを提案し、レイモン隊長から許可をもらい、ここまでやってきたと言う。ドン・ディエゴはゾロを見なかったかと聞かれて見なかったと答える。
そこで彼らはゾロ捜索をやめ、ベガ家で宴会を始めた。ドン・ディエゴはそれをうんざりして眺めていたがすぐに自室にさがる。
宴会が盛り上がっていたとき、ゾロが現れる。ゾロは、有力者の子息たちが腐敗した政治をただそうともせずにいると彼らを非難し、共に不正に立ち向かおうという盟約を結んで消える。
そんなある日、総督がロス・アンゼルスへやってくる。プリド家についてのデタラメの告発を信じた総督は、プリド家の3人を牢に入れるように命じる。それは当時の慣習としては許されない、侮辱的な措置だった。
ベガ家でゾロと盟約を結んだ若者たちとゾロは、プリド家の3人を牢から救出する。ゾロはロリタをフェリペに預け、レイモンとの決闘のため、町に戻る。
レイモンとの決闘に勝利し逃げようとしたゾロの前に、馬に乗ったロリタが現れゾロは驚く。ロリタはゴンザレス軍曹に見つかり、ここまで逃げてきたのだ。囲まれ、酒場に逃げ込む2人。とうとう万策つきたとき、現れたのはゾロと盟約を結んだ仲間の青年たちだった。彼らはゾロが何一つ間違ったことをしていないと宣言し、総督にゾロを無罪放免にするよう迫る。有力者子息たちの思いがけない反抗に驚いた総督は、土地一番の有力者ドン・アレハンドロ・ベガに説得を頼むが、ドン・アレハンドロに自分は若者たちの味方だと一喝され、とうとうゾロの逮捕を諦める。

歓声のなか、ロリタと共に人々の前に姿を現したゾロは総督の要請で覆面をとる。そこにいたのはドン・ディエゴ・ベガだった。
めでたしめでたし♪



これが、私がずーっと好きだ好きだと機会さえあれば叫び続けている快傑ゾロのストーリーです。相変わらずあらすじが下手で申し訳ないです、ゾロに(笑)
冷静に、客観的にみればさほど絶賛するようなストーリーではないかもしれませんね。普通と言われてしまえば普通です。
もうこの「好き」という気持ちは理屈じゃないんです。とにかく好き。



さて、ではこの旧版ゾロを手に入れたときの話をしましょう。
ちょうど14年前、私はアニメ快傑ゾロが終わってしまって深い悲しみの中におりました。ただ、いつもオープニングに出ていた「原作快傑ゾロ」の文字だけが心の支えで、アニメが見られないならせめて本を手に入れたいと思いました。当時はパソコンなんて家にはなく、ネットという存在すら知りませんでしたから、普通に本屋さんに行きました。


快傑ゾロくださいな。
あー、あれは絶版ですね。


…すでにいろんな絶版に苦しめられていた私には絶版の意味が痛いほど理解できました。
しかし私の愛は挫けることなく、ひたすら古本屋さんを回るようになりました。チェーン店から田舎の小さな古書店まで、行けるところはどこへでも行きました。
そして、家族で少し遠出したときのことです。
買い物なんてそっちのけで私の目はひたすら古本屋さんを探していました。そして見つけた小さな古本屋さんで、ついに!ついに夢にまでみた文字を発見!!

怪傑ゾロ…………目
目?うん?何?なんかゾロに変なのがくっついてるんだけど?
作者 安.部.譲.二
え?ダレ?
そう、安.部.譲.二氏の「怪.傑.ゾ.ロ.目」という本だったのです。
あのときのガッカリ感といったらもう……。半泣きっていうかしくしく泣いていました。そんな私をみて爆笑する家族。そして、父がこう言いました
「え?お前、快傑ゾロ探してるの?僕持ってるけど?」
…………………は?

いやいや、お父様?わたくし、この3ヶ月ずーっとゾロのことばっかり言ってましたよ?
一気に涙も引っ込み地獄から天国へ。小躍りする私にしかし父はこう言いました。
「たぶん物置にあると思う」
一瞬でテンションが下がる私。
当時の我が家の15畳ほどの物置は異次元空間につながってるんじゃないかと思うほど、不気味な空間でした。電気もなく、窓は物置中に置かれた父の本棚にさえぎられているので昼でも薄暗かったです。
正直、物置に入るだけでも怖いのに、壁一面に並べられた何千冊もの父の古い蔵書の中から1冊を見つけだすなんて…。しかも懐中電灯で!しかし、私がやらなきゃ誰も探してなんてくれません。うちの家族はその辺冷たいもんです。
私は決意し、1時間は戻れないかもしれないと装備を固め、いざ出陣。
今思い出しても不思議なんですが、物置に入ると、自然に足がある本棚の前で止まったんです。ちょうど物置の真ん中くらいの本棚で、私は上から順番に懐中電灯で照らしていきました。そして、2段目で「快傑ゾロ」を発見。結局、3分とかからず出てこられました。
あれはきっと本の神様が、私に微笑んでくれたんじゃないかと思います。本の神様っていると思うなー。なんとなく。








高柴