ななつのこ

高柴です



ちょっと変わったミステリを読もうと思って手に取ったのが、今日ご紹介する加納朋子さんの「ななつのこ」です。
読み終わった感想は、好きな人にはたまらないだろうな…。といったところでしょうか。優しい優しいミステリです。

ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこ (創元推理文庫)



あらすじは…
主人公の駒子は、表紙の絵に惹かれて「ななつのこ」というタイトルの短編集を購入する。そのストーリーは、田舎の少年「はやて」が、日常に潜む小さな謎を、近所の療養所にいる優しくて美しい不思議な女性「あやめさん」の助言を受けて解決していくというもので、駒子は夢中になる。そして作者の佐伯綾乃さんにファンレターを出し、自分の周りで起こった不思議な出来事を報告する。すると意外なことに佐伯さんから返事が返ってくる。そしてその中で駒子の謎を説き明かしてくれていた。
作中の「ななつのこ」の作品の紹介と、駒子の身近な事件が平行して進み、駒子と佐伯さんの文通は続く。その関係はまさにはやて少年とあやめさんのようである。
そしてひょんなことから駒子は自分が惹かれた表紙の絵を描いた画家の女性と出会い、親しくなる。また、偶然知り合った謎の青年瀬尾さんとも何度か顔を会わすうちに親しくなるが…。駒子はいつのまにか彼らの人生に深く関わるようになる。
その意味は…読んでのお楽しみ。


展開はお約束ですしひとつひとつの「謎」もあまり面白くないので、ミステリファンにオススメするのは躊躇してしまいます。しかし絶賛されている方もいらっしゃるようなので、雰囲気を楽しむのがお好きな方には良いかもしれません。
確かに雰囲気は良いです。作中の短編集と現実をうまくリンクさせる手法も、目新しくはありませんがとてもお上手で、はやての世界と駒子の世界を自由に歩くことができました。
でも私は、おそらく絶賛されているのを知って購入したこともあり、あまり満足はできませんでした。期待が大きすぎたような気がします。
謎と話の展開、登場人物のセリフが安易で、もう少しひねってほしいなぁと読んでいて思いました。
淡々と優しく進む絵本のようなお話。といったところでしょうか?
人が殺されたり襲われたりするミステリはイヤだ!という穏やかな方にオススメ。



高柴