怪盗桐山の藤兵衛の正体

高柴です


佐藤雅美さんの八州廻り桑山十兵衛シリーズ「怪盗桐山の藤兵衛の正体」を読みました。

やはり安定の面白さ。佐藤さんのシリーズ物は期待を裏切りません。


八州廻り桑山十兵衛は、偶然出会った河門笑軒という学者の老人が20年ほどまえに姿を消した盗賊の一味の頭目なのではないかという疑念を持つ。その一味はあちこちで押し込み強盗をしていたが人を傷つけるようなことはせず、その鮮やかな手口は人気さえあったらしい。桐山の藤兵衛と呼ばれていた頭目も一味も未だに誰一人捕まっておらず、ときが経つにつれて人々の話題にのぼることもなくなっていた。
しかし十兵衛が桐山の藤兵衛の正体が気になり始めてから、すでに老齢になっている一味の気配を感じるようになる。怪しい女や藤兵衛らしからぬ荒っぽい手口の押し込みの犯人を追いながら、十兵衛は少しずつ藤兵衛の正体に近づいていく。


7編の短編がゆるく繋がって、長編のような読みごたえがあります。久しぶりに佐藤作品を満喫できて、楽しかったです。