敵討ちか主殺しか

高柴です


佐藤雅美さんの物書同心居眠り紋蔵シリーズ「敵討ちか主殺しか」を読みました。

久しぶりに佐藤さんの作品を読んだ気がします。相変わらず面白い。
大店である廻船問屋伊勢徳の隠居徳兵衛さんが新登場。お大尽キャラなんで、なにかと話が早くて佐藤さんの作風に馴染みます。


紋蔵は相変わらず地味だけど良い仕事をして新たに町奉行に任命された壱岐守にも重宝される。仕事ができすぎて思わぬ恨みも買ったりするが、おおむね順調。一方養子の文吉は婿入りにどうしても納得できず、話を断る。
「棚から牡丹餅のような生き方がどうにも我慢ならないのです」
これはものすごく文吉らしいセリフというか、彼の性格をよく表していると思います。
8編ありますが、どれも面白く満足でした。特に、紋蔵に大恥をかかされてなんとか仕返しをしてやろうと奮闘する新キャラ火盗改の小野左大夫がコミカルな間抜けキャラで笑えました。こんなかっこ悪い火盗改のキャラがかつていただろうか。なんとなく火盗改ってすごくいい仕事なんだと思っていましたが、まさか貧乏くじ扱いされていたとは!お金かかる役職は大変だったんですね。響きはかっこいいけど。


さくさく話は進むし、江戸の様子がすごくよくわかるし、キャラはいいし、本当に佐藤さんの作品はオススメです。