おおあたり

高柴です


畠中恵さんのしゃばけシリーズ最新作「おおあたり」を読みました。

おおあたり しゃばけシリーズ 15

おおあたり しゃばけシリーズ 15

特に大きな進展とかはなかったんですが、面白かったです。
お話は5つ。
「おおあたり」
安野屋で修業中の栄吉が、オリジナルの辛あられを作った。餡子は相変わらず苦手だがあられの出来は良く、大切な幼馴染のために若だんなは張り切って長崎屋を使って栄吉のあられを売り出す。江戸でも上々の評判をとった辛あられだが、事態は思わぬところへ転がってしまう。
栄吉の許嫁、千夜に一目ぼれしたという紀助が登場し、さらに辛あられの偽物まで出てきて……。
「長崎屋の怪談」
長崎屋の裏手の貸家に住む噺家の場久が、暑気払いに一席怪談を語りましょうと提案してくれた。暑さに参っていた若だんなは喜び、長崎屋の主人夫妻や近所の人々、そしてもちろん多くの妖たちもいそいそと集まって裏手の一軒家で場久の怪談噺が始まる。そこで語られた「追いかけられる男」と同じことが若だんなの周りにも起こり始めて……。
「はてはて」
宴会のためにお使いに出た貧乏神の金次は、小路から飛び出してきた男に突き飛ばされて持っていた菓子を台無しにしてしまう。怒る金次に、男は一朱もするという富札を強引に握らせて走り去る。
金次が手に入れた富札がまさかの百両以上の大当たり。だが、なぜか2枚のはずの当たりが3枚出てきてしまって長崎屋は大きな騒動に巻き込まれていく。
「あいしょう」
仁吉と佐助は大妖皮衣おぎんのために、おぎんの孫の一太郎のお守り役として江戸へ向かう。最近江戸では物騒な事件が多く、大切な孫を案じたおぎんが予定より早く二人を一太郎のもとへ送ることになったのだ。仁吉と佐助はどちらもおぎんのために働くことになんの異存もなかったが、自分に「相棒」がいるというのはあまりよく思っていない。自分一人で十分なのにとお互いに思っている。
対面した一太郎はおぎんによく似た優しい器量のいい5歳の男の子で、二人はすぐに一太郎を気に入る。だが、少し目を話した隙に一太郎がいなくなり、長崎屋は大騒ぎに。二人は他の妖たちの力を借りて一太郎の行方を追うが……。
「暁を覚えず」
寝込んでばかりで長崎屋の跡継ぎの仕事ができない一太郎は、自分の弱さに落ち込んでいた。そんな彼のもとへ、猫又の薄墨が暁散という薬を持ってくる。それを飲むと丸一日寝ることになるが、その代わりに次の一日は元気で過ごせるらしい。どうしても外で仕事をしたい一太郎は、その薬を飲むことに決めるのだが……。


どれも面白かったけど、栄吉の餡子作りの腕がどんどん酷くなっているのは心配になりました。栄吉気の毒だったなー。
仁吉と佐助が初めてコンビを組んだときの過去のお話も面白かったし、最後の「暁を覚えず」のオチもすごくよかったです。仁吉たちも過保護なだけでなくて、若だんなの望みを察してあげられるようになったんだなーとすごく感心しました(笑)