甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺

高柴です


田牧大和さんの「甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺」を読みました。
時代小説ファンの方から、面白いですよ〜とおすすめしていただいた一冊。
しっかり面白かったです。


江戸で繁盛していた菓子司「百瀬屋」の跡取り息子として菓子職人の修行に励んでいた晴太郎は、両親が相次いで急死したあと叔父に店を追われてしまう。弟の幸次郎は叔父夫婦の娘お糸との縁組が決まっていたが、叔父夫婦のやり方に反発して自分も店を飛び出す。路頭に迷う寸前の兄弟を助けてくれたのは、かつて父のもとで修業をしていた菓子職人の茂市と父の親友だった伊勢屋総左衛門だった。
菓子作りの天才肌でおっとりした優しい性格の兄晴太郎と、商売の勘がするどいしっかり者の弟幸次郎。二人は兄弟を温かく見守る菓子職人の茂市と厳しく導く総左衛門のそばで、叔父の嫌がらせに立ち向かいながら自分たちの店「藍千堂」で尊敬する亡き父が遺した菓子の味を守っていく。


みたいなお話。
キャラがいいんですが、決してキャラ頼みじゃないのがすごくよかったです。しっかりしたお話を読んだな、っていう印象。ゆるくつながった短編集なんですが、ひとつひとつのお話がきちんとまとまっていて読後も爽やか。
爆笑!とか、号泣!みたいな忙しさはなく、ただしっかりとお話が降り積もってふふっと笑ったり、じんわり泣けたり。時代小説好きなら読んで損はなし。この作者さんの他のお話も読んでみようと思います。