天国旅行

高柴です


三浦しをんさんの「天国旅行」を読みました。

天国旅行(新潮文庫)

天国旅行(新潮文庫)

三浦しをんさんの作品が好きです。面白いと思います。だから、三浦さんの作品はかなり好意的に読んでしまうということもありますが、それを差し引いてもコレは面白かったです。
死、という重いテーマを扱っているのに、全然心は重くならない。そんな短編集です。
もう自殺するしかないと思い込んで樹海をさまよう中年男性が出会った優しい青年。情熱的すぎる妻へ残すコミカルな遺言。初盆で明かされる祖母の深い愛情。繰り返し見る不思議な夢に引き寄せられる女性。憧れの先輩の衝撃的な死とその真相。幽霊としてずっとそばに居続ける恋人との生活。一家心中の生き残りとして生き続ける男性。
全部面白かったけど、特に「遺言」と「初盆の客」と「炎」が好きです。
くすっと笑えてホロリと泣けてぞくっとしました。「炎」はミステリとしても好きですね。最後に一気に裏返る展開が好みです。
読みやすい長さの話ばかりなので、普段あまり読書をしない人にもオススメ。