いつか、ふたりは二匹

高柴です


西澤保彦さんの「いつか、ふたりは二匹」を読みました。

読む本がないときとりあえず手に取る作家さんの一人が西澤さんです。好きな作家さんなんですが、西澤さんの登場人物の名前のセンスだけはホントどうにかならないかなといつも思っています。なぜ絶対いそうにない名前をつけるのだろう。
珍しい名前でもそれっぽく使う人はたくさんいるのに、西澤さんはいつもキッチリ名前が浮くイメージ。私の感覚との相性が悪いだけなんだろうけど。


さて、今回のお話。可愛いお話なのかなー?と気軽に読み始めたんですが、わりとラストは重かったです。
あらすじは、
母親が再婚して義父と血の繋がらない大学生の姉がいる智己は、家事も完璧にこなすしっかりした小学6年生。彼には、誰にも言っていない秘密があった。それは、眠っているときに近所の野良猫の意識に乗り移れること。猫に入っている間に智己は近所の飼い犬ピーターと仲良くなり、充実した猫ライフを送っていた。
そんなある日、同じ小学校に通う同級生の女の子たちが車にひかれて一人が重体になる事件が起こる。どうやらただの事故ではないらしく、去年起こった少女誘拐未遂事件の犯人が起こした通り魔的犯行の疑いがある。智己は猫に入っているときに容疑者となっている男に遭遇し、殺されそうになったことから事件を解決しようと動き出す。友達のピーターはそんな智己を心配し、一緒に事件を調べてくれることになったが……。


西澤さんらしく、ちゃんとミステリーになってます。なるほどな、と。タイトルもいいですし、智己くんも賢くて可愛い。話も読みやすい。
ただ、後味めっちゃ悪いです。けっこう落ち込みました。弱いものが犠牲になるのはやっぱり後味悪くなりますね…。
そんなわけで、決して可愛いほのぼのしたお話ではないという点だけご注意を。