噂の女

高柴です


奥田英朗さんの「噂の女」を読みました。

噂の女 (新潮文庫)

噂の女 (新潮文庫)

特別美人というわけではないが、肉感的で男好きするタイプの若い女。高校までは地味だったのに、短大時代から急に華やかになった糸井美幸は、小さな田舎町の噂の女だ。そんな糸井美幸に出会う人々が主役の短編集。
短編集なので主役は毎回変わるんですが、みんないろんな形で糸井美幸に出会い、関わっていきます。いろんな立場のいろんな人たちを通して、読者は少しずつ糸井美幸という女を知っていく、というストーリー。
糸井美幸にはたくさんの黒い噂があるが、確かなのは貧しい家に生まれた糸井美幸が次々と金持ちの男たちを誘惑してお金を吐き出させ、のしあがってきたということだけ。糸井美幸とは、いったいどういう女性なのか?
女性は美幸に対して2種類の態度をとる。警戒か、尊敬か。だが、男性は簡単に彼女の誘惑に乗ってしまう。恐ろしい女。関わりたくない女。魅力的な女。いろんな顔を持つ糸井美幸に、読者もいろんな感情を持つ。


面白く読みました。ただ、田舎町に住む人間としては、田舎町の描写にちょっと苦笑い。まさか、いくらなんでもここまでひどくないでしょうと。癒着や賄賂や天下りでがんじがらめみたいな描写でしたが、私が世間を知らないだけ??そりゃ、多少はあるでしょうけど。少なくとも、それ一色!みたいなことは感じたことないなぁ。
糸井美幸は知れば知るほど怖い女なんだけど、スカッとするほど悪い女だから許せる(笑)彼女は最後どうなったのかなぁ。