アルハンブラ物語

高柴です


ワシントン・アービングの「アルハンブラ物語」を読みました。

アルハンブラ物語 (講談社文庫 あ 31-1)

アルハンブラ物語 (講談社文庫 あ 31-1)

古い本です。名著、という言葉をどこかでみかけましたが、まさしく名著という言葉がピッタリな一冊。言葉が美しく、幻想的なアルハンブラの中をさまよっているような気持ちになります。
題名のとおり、アルハンブラの物語。1892年、外交官としてスペインのマドリードで暮らしていた作者が、数か月の休暇の間、アルハンブラ宮殿で過ごしたときのお話。彼自身がアルハンブラで感じたことや、アルハンブラの人々から聞いた伝説、古い書物に書かれていた興味深いエピソードを、彼の好みで自由に書いています。アメリカ人の作者の、スペイン人やアルハンブラの伝説、かつてアルハンブラの支配者だった異教徒のムーア人たちへの眼差しは優しく、温かい敬愛の気持ちが伝わってきます。この作者の人柄があったからこそ、アルハンブラは彼に魅力的な姿を見せたんじゃないかと思います。
物語、という言葉が好きです。優しく、温かく、わくわくさせる言葉です。
そんな、物語、という言葉にふさわしく、紹介されている伝説は冒険と美しさに満ちており、出会う人々は楽しげで、まるでアラビアン・ナイトの世界に迷い込んだような気持ちになります。本を読みながら幸せな気持ちでうとうとお昼寝したいときにオススメ。