マスカレード・ホテル

高柴です

東野圭吾さんの｢マスカレード・ホテル｣の感想です。
歪笑小説好きなら、思わず｢編集者さんたち、この原稿もらうために何度土下座したんだろう…｣と思ってしまうのではないでしょうか。集英社さん、こんなに面白い長編を書いてもらえてよかったね！！と、拍手をおくりたくなりました。
面白かったです。
あらすじは、

都内で連続殺人事件が起こる。警察はある非公開の事実から、次の犯行現場を割り出す。それは高級ホテル｢コルテシア東京｣
これ以上の犯行を食い止めるため、刑事の新田浩介は他の数人の仲間とともに命じられて潜入捜査を始める。だが、新田はそれに大いに不満で、自分の持ち場であるフロント業務にも乗り気ではない。そんな新田の指導係になった山岸尚美は優秀で仕事熱心なホテルマンで、ホテルの仕事にやる気を見せない新田に苛立ちながらも役目をこなしていく。
捜査のプロとホテルのプロ。仕事はまったく違うが、仕事に対する情熱と使命感は共通している二人。
ホテルには、新田が驚くほどいろいろな｢お客様｣がやってきた。そんな彼らに常に笑顔で対応する尚美の努力を見て、新田は少しずつ考えを改めていく。次々とやってくる怪しい人物たち。少しずつ明らかになる連続殺人事件の内容とからくり。
犯人の本当の目的とは？

みたいな話。
新田と尚美のコンビがすごくイイ！！ぜひシリーズ化してほしいです。マスカレード・イブのほうは二人が出会う前の話だし、続きが見たい。
尚美の仕事への情熱が素晴らしい。これを読むと、次に旅行に行くときはぜひ高級ホテルに泊まろうと思うはず。
そんな尚美の影響を受けて少しずつ態度を改めていく新田の心の動きもすごくイイ。二人の主人公がどちらも本当に魅力的です。
そして、今回私が｢土下座くらいしたのかも｣と思ってしまった理由はエピソードの多さです。いろんな客が来て、いろんなエピソードを残していくんですが、それが全部面白い。作者がここまで丁寧な長編を書こうと思ったんだから、集英社は頑張ったんだろうなと。土下座はもちろん冗談ですが、作者の愛を感じました。
本当に満足です。こういう作品に次々出会えたらいいのになぁ。