伯爵と妖精シリーズ

高柴です



友人が数年前からハマってるの〜と楽しそうに話してくれていたシリーズものがとうとう完結したと聞き、頼んで全巻貸してもらった私。
優しい友人はゆっくり読んでねと言ってくれたのですが、私は勝手にハマってしまってひたすら読んで読んでとうとう読破。自分で言うのもなんですが、特にここ3週間はひどかったです。もうコレを読むことしか考えられなくなって今はやりの「廃人化」してましたね。恐ろしくも夢のような日々でした…。
それが、谷瑞恵さんの「伯爵と妖精シリーズ」でコバルト文庫より全32巻発売中(これから短編集が出るようなので、本編の完結まで32巻)
コバルトにはこれまであまり縁がなかったので、女の子の好きそうな恋愛もののイメージでしたが、こちらは確かに恋愛に重きをおいてはいますがどちらかと言えば謎解きメインのファンタジー


舞台はヴィクトリア朝のイギリス。
主人公のリディア・カールトンはフェアリードクターを名乗る女の子。フェアリードクター、つまり妖精博士は、妖精たちを見たり彼らと話をしたりできるため、昔から妖精が見えない人と妖精たちの間で起こるトラブルを解決してきた。しかし、せわしなく近代化していく時代の中で人々は急速に妖精の存在を信じなくなっていた。それでも妖精は存在し、ちょっとした勘違いなどで人に迷惑をかけたり悪戯をしかけたりする。リディアは周囲から変わり者だと冷たい目で見られてもフェアリードクターとしての誇りを失わずに亡き母の相棒だった妖精猫のニコとスコットランドで暮らしていた。
そんなある日、ロンドンで働く父からこちらへ来ないかという手紙を受け取る。イースターを一緒に過ごそうという大好きな父の誘いに、リディアはもちろんロンドン行きを決める。
リディアのロンドンへの旅行は思わぬトラブルの連続だった。青騎士伯爵を名乗る謎の美青年エドガーと彼の部下たちになりゆきで誘拐されてしまったリディアは、彼らとメロウの宝剣を探すことになってしまう。
青騎士伯爵というのは、妖精を従え妖精国を統治していたといわれている伝説の伯爵のことで、その子孫を名乗るエドガーは再び青騎士伯爵として女王に認められるため、その証とされるメロウの宝剣を探していた。
しかし、もちろんエドガーは青騎士卿の末裔ではないし、複雑な事情を抱えた彼を追う「組織」はリディアには想像もつかぬほど巨大で恐ろしいものだった。エドガーはその組織から自分と大切な仲間を守るために青騎士卿という地位を欲していたのだ。そんなエドガーの事情を少しずつ知り、完璧に見える彼の弱さや仲間への真摯な想いを理解していくうちに、リディアはエドガーの人柄に惹かれていく。
そうしてなんとかメロウの宝剣にたどり着いたエドガーとリディアだったが、肝心の宝剣にはあるものが欠けていて…。


というのが1巻のお話で、2巻以降はエドガーとリディアの恋をひとつの軸にしてエドガーを狙う組織との戦いやリディアが背負う「運命」という名の試練を仲間とともに乗り越えていく、みたいなかんじです。
リディアはフェアリードクターとして妖精たちを見ることができたり話をしたりすることができるのですが、彼女自身の持つ特別な能力というのはそれだけなんです。あとは、同じくフェアリードクターだった母や相棒のニコから教わったいろんな妖精に関する知識や知恵だけで次々に起こる妖精絡みの事件を解決していく。そこがまず面白いと思いました。不思議な力でどどんと解決!じゃなくて、少しずつ謎を解いていくというのが謎解きモノとして楽しかったです。ストーリーの核となる謎解きも、毎回なるほどな〜と納得できたりハッと驚いたり。まぁとにかく飽きなかったです。32巻一気に読んだんですから、それは確かですね(笑)
あとは登場人物たちの魅力でしょうか。みんなそれぞれ個性豊かでまっすぐなキャラばかりで、読んでいて非常に心地よかったです。彼らに会いたくてページを繰る手が止まらなかったのかもしれません。
もちろん、物語の軸となるリディアとエドガーの少しずつ進む恋もとても好きでした。久しぶりにラブストーリーを読めて楽しかったです。ほんっとに少しずつしか進まないところが面白かったですね。



これを貸してくれた友人が、大丈夫!最後はちゃんとめでたしめでたしだからっ!!って何度も励まして(?)くれた理由が読んでいてわかりました。とにかく敵が大きすぎて、問題が山積みすぎて、ホントにコレ、なんとかなるの!?って何度も思いましたもの。しかもわりと最後までそんなかんじでしたし。
読み終えた今、彼女の気持ちがよくわかるというか、もうそれしか言えないですね。
絶対大丈夫だから、最後まで彼らと付き合ってあげてねって。




高柴