有頂天家族

高柴です

森見登美彦さんの「有頂天家族」がアニメ化されると聞き、再読。やっぱり面白い。なぜかまだ感想を書いていなかったようなので、簡単にあらすじと感想を。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

京都。
そこは人間と天狗と狸の街。
矢三郎はそんな京都に住む狸で、狸の名門下鴨家の三男。化けるのが好きなお調子者で、面白おかしく生きることを人生の目標と定めている。
矢三郎の父、総一郎は京都の狸を束ねる力と器を兼ね備えた偉大な狸だった。しかし数年前、彼は年に一度忘年会で狸鍋を食らうことを決まりとしている忌まわしき「金曜倶楽部」によって狸鍋にされ、帰らぬ狸となる。
総一郎を失い、残された彼の4匹の息子たちは周りから父の偉大な血をひきそこねた阿呆な狸たちというレッテルを張られ下鴨家はすっかり勢いを失った。
長男は真面目だがプレッシャーに滅法弱く、すぐに錯乱状態に陥る。
次男はなにごとに対してもまったくやる気がない暢気者で、とうとう狸でいることが面倒になって井戸の中で蛙に化けてずっとひきこもっている。
四男はまだ幼く、純真だが化けるのが下手ですぐに尻尾を出す。
そんな4人を深く愛し、偉大な父と同じくらい立派な狸だと信じて疑わないのは下鴨家の中心ともいえる母。そんな彼女を4兄弟たちは慕い、下鴨家はなんだかんだうまくいっていた。
下鴨家の代わりに勢力を伸ばしているのは彼らのライバル夷川家だ。
総一郎の実弟が養子に入ったのだが彼ら兄弟は仲が悪く、今でも叔父と従兄弟たちはなにかと4兄弟を目の敵にする。
従兄弟たちとの小競り合いを繰り返しながら、矢三郎は師匠で今は没落した天狗の赤玉先生の世話を焼き、彼の初恋の人である天狗の弁天に振り回される。
しかし、彼のそんな平凡な（？）日々は長く続かない。そもそもなぜ父は狸鍋にされたのか？次期狸界の頭領「偽右衛門」を叔父と争う矢三郎の長兄に迫る危機を下鴨家は団結して救えるのか？

みたいなお話。
一人一匹のキャラが濃くて、ひとことで言うととっても愉快なお話。
森見さんの文章は独特なので好き嫌いが分かれるかと思うんですが、私はこういう馬鹿馬鹿しい笑いが大好きなので本当に好みです。
彼らの父親の総一郎はとてもカッコイイ狸なんですが、そんな彼が唯一息子たちに望んだことが
「兄弟仲良く」
だったというのが泣けます。家族愛がたっぷり詰め込まれていて、笑いあり涙あり。夷川家とのバトルは緊張感も笑いもあって、もうとにかくいっぱい詰まった一冊です。

高柴