さがしものが見つかりません!

高柴です


最近珍しく忙しい日が続いています。土日というのは私にとって家ですっぴんでゴロゴロする日だったのに、3月4月の週末は毎週おでかけすることになりそうです。え?それが普通?
さてさて、それでも本は読みたいものです。
お手軽にささっと読める本を探していたとき、新聞で紹介されていたこの本を見つけました。

さがしものが見つかりません!

さがしものが見つかりません!

秋山浩司さんの「さがしものが見つかりません!」
森見登美彦さんに影響されたという作者の言葉に、森見作品愛読者として興味を持ちました。
以下、簡単にあらすじと感想。


完全に大学デビューに失敗し、一人さみしくキャンパスライフを送っていた山月は、1年の終わりにいかがわしい場所でいかがわしい男と出会う。
物部と名乗ったその男は山月と同じ大学の学生で、二人は新学期に大学構内で再会する。
物部というのは非常に怪しく強引でかつ自分勝手だが、不思議な魅力を持つ男だった。山月は物部のペースに完全に乗せられ、あれよあれよという間に物部が作った非公認サークル「MFL」に入れられ、物部の出す目的不明な指令にしぶしぶ従わされる羽目になる。
MFLには花子さんという美しい先輩女性と物部と山月の3人しかメンバーがいない。しかし、MFLの目的を知っているのは物部だけで、花子さんさえ物部のやることはよくわからないという。
そんな不思議な超弱小サークルなのに、MFLは学生会という大学の超巨大かつ中心的な場所での戦いに無理やり巻き込まれる。というか飛び込んでいく。
物部の目的は?巨大な陰謀(?)にがっちり巻き込まれた山月の運命は?



みたいな話?
途中まで、森見さんの影響受けすぎじゃない?てか、
森見作品−ファンタジー要素=この作品
じゃない?と、けっこう心の中で文句を言ってたんですが、読み終わってみるとちょっとくやしいですがなかなか面白かったです(笑)
森見さんほどインパクトがないというか、強烈な個性はないんですがその分素直で爽やかでした。
森見作品に出てくる大学は、もう有名な話ですが京都大学です。森見さんの母校でもあります。関西では別格の大学であり、憧れの存在。
森見作品では、わかる人はすぐわかるけど京都大学とハッキリ書かれることはほとんどありません。対して、こちらの作品の舞台は作者が在籍している大阪大学。これはもうくどいほど出てきます。そんなに阪大(はんだい)を連呼せんでも…。と途中何度か思いました。
森見作品は大学生が自分たちでわいわい楽しむイメージですが、「さがしものが〜」は、学生たちをまとめる「学生会」を中心にストーリーが展開します。つまり“公”の立場の学生が主に登場するのでどうしても大学色が強くなるのかもしれませんね。
キャラのパターンも森見作品に似ていますが、森見作品ほどひねくれていないところが可愛かったです。まっすぐで優しいキャラたちは作者の性格が出ているのかもしれません。


そんなわけで、森見作品の二番煎じじゃないの?という意地悪な心で読んだのに最後きっちり楽しんでいた「さがしものが見つかりません!」
大学の学生会が舞台になるというのは意外と新鮮ですし、素直なストーリーと舞台がよく合っていて面白かったです。
作者の愛する大阪大学のためにも、これからも良い作品を書いてほしいなぁと思いました。





高柴