ぼんくら

高柴です


宮部みゆきさんの「ぼんくら」を読みました。
久しぶりに本を読み終えました。実は車通勤になりまして、命がけで夜更かしするわけにいかず(一瞬でもウトウトしたら命にかかわりますからね)、私の読書時間は大幅ダウン。その代わり睡眠時間は大幅に増え、元気いっぱいな毎日をすごしています(笑)
さて「ぼんくら」ですが、面白かったです。
以下、簡単にあらすじ。
まったくやる気のないぼんくら同心井筒平四郎は、通称鉄瓶長屋と呼ばれている長屋を見回るのを習慣にしている。その長屋に住む煮売り屋のお徳という気のいい中年女性のところでなにかつまむのを楽しみにしているのだ。
その鉄瓶長屋は、ある事件をきっかけに差配人不在という異常事態にあった。そんなある日、新しい差配人がやってくる。佐吉というその差配人は当時の常識では考えられないほど若く、前の差配人を慕っていた長屋の住民たちは不満顔。しかし平四郎は、その佐吉に好感を持つ。佐吉は一生懸命に差配人としての務めを果たしていたが、さまざまな騒動や事件のせいで長屋の住人はどんどん減っていく。自分の力が足りないからだと落ち込む佐吉。しかし平四郎はあるとき気付く。
ここまで次々に住人が減るのは不自然ではないか?
と。平四郎が重い腰をあげ、幼なじみの隠密廻り同心や養子候補の聡明な甥、頼りになる岡っ引きたちとともに一連の騒動の謎にせまったとき、明らかになる真実とは?


宮部さんといえばやたら賢い子供が出てくるイメージですが、今回もしっかり出てきます。
じわじわと違和感をあぶり出す手法で、思わず背筋がぞくっとするような、そんな展開でした。ミステリとしても時代小説としても面白く読めるのではないでしょうか。
鉄瓶長屋の「心」ともいえるしっかり者のお徳を優しく丁寧に描くことによって、騒動の違和感や嫌悪感をしっかり出し、登場人物たちの感情の動きにも説得力を持たせていたと思います。お徳をはじめ、好感の持てるキャラが多くそれぞれきちんと見せ場があるので満足でした。
時代小説ファンにオススメです。



高柴