尋ね人

高柴です


谷村志穂さんの「尋ね人」を読みました。

尋ね人

尋ね人

ストーリーは、
東京で仕事のパートナーであり、恋人であった巨樹(なおき)と別れ、故郷の函館に戻った李恵。
仕事も恋も失った彼女を迎えてくれたのは、末期がんで余命わずかと診断された母、美月。
母娘二人の静かな生活が始まったとき、美月は娘にある願いを口にする。それは、突然姿を消した昔の恋人大橋を探してほしいというものだった。
李恵は困惑するが、母の強い意志に動かされ、少しずつ母の昔の恋を知っていくうちに、自分の恋を見つめ直すようになる。
恋を失ったばかりの娘と、遠い昔の恋をずっと心にしまってきた母。娘は知らなかった母の一面に戸惑いながらも、少ない手掛かりをたぐりよせて真相に近づいていく。

みたいな雰囲気。
うーん。私のような成熟した大人の恋がよくわからない人には向かないかも。
どんなに綺麗事並べられても、やっぱ私は大橋みたいな男イヤだなー。もし、自分が李恵だったら、やっぱり懸命に大橋の行方を捜したでしょう。母への愛情ゆえに。そして自分が美月だったら、やっぱり娘に大橋を捜してほしいと頼んだと思います。だから、母娘の気持ちはものすごく共感できるし、リアルだったと思います。ただ、そのキーになる大橋がしょうもなさすぎる。美月も若かったから騙されちゃったんだねーとしか思えない。魅力がない。確かに優しい人だけど、結局“自分に”一番優しい男なんだろうなと。だから読んでいても肝心の大橋の行方に全然興味がわかないんです。もうどうでもいいじゃん、生きてても死んでてもサって思えてしまって。
李恵と美月の感情とか言葉はすごく良くて、だからこそ最後まで読んだという印象。特に、美月の「大橋さんは、誰かに真剣に探されたってよかった」にハッとさせられました。大橋という人間の悲しさ、美月という人間の温かさを感じました。
忘れたくない、素敵な恋の思い出をお持ちのおばさまたちにオススメ。



高柴