天地明察

高柴です


冲方丁(うぶかたとう)さんの「天地明察」を読みました。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

今年2012年は天体ショーの当たり年と言われています。
個人的にすごく楽しみなのはベテルギウス超新星爆発です。本当に2012年中にあるのかはわかりませんが、確率は高いようですね。2週間くらいの間、月が2つあるくらいの明るさで輝くそうです。
日本では平安時代藤原定家超新星爆発について書き残しています。さぞかし驚いたでしょうね、平安時代の人たち。ある日突然月が2つ(のように見える)になるんですから。
そんな2012年にピッタリと言えるのがこの作品「天地明察
あらすじは



4代将軍家綱の時代、800年も同じ暦を使い続けていたせいで、日本の暦は2日間のズレを生じさせていた。
たかが暦だがされど暦。帝、宗教家、その他もろもろの立場や思惑があり、改暦は慎重に運ぶ必要があった。そのため、幕府の中心的な人物たちが長い時間をかけてある男の能力や人物をひそかに調査。結果、その男に改暦という大役を任せることを決める。
その人物の名は渋川春海
碁打ちとして徳川家に仕える幕臣安井家の長子だが、碁の他にも神道朱子学、算術、測地、暦術を良き師について学んだ多才な人物だった。
春海は穏やかで少し頼りなげな性格だが、最高の能力、知識、頭脳を持つ仲間たちとともに改暦という大事業に果敢に挑んでいく。
そんな彼を待ち受けるのは、大切な人たちとの別れ、絶望的な挫折、誹謗中傷。
しかし同時に努力を重ねる彼には素晴らしい人たちとの出会い、天地の理を知る喜び、仲間たちからの温かい賞賛が集まる。
彼の生涯をかけた暦は“明察”か“誤謬”か。そしてその評価はいかに。




みたいな雰囲気。
ちょっと途中眠くなったりもしたんですが、面白く読みました。
徳川幕府を“武”から“文”へ導こうとした保科正之や、家綱の治世を抜群の安定感で支えた大老酒井忠清の考え方や動き方が特に興味深かったです。保科正之かっこよすぎ。
それにしても綱吉は見事に評判が悪いですね。あの屈指の悪役吉良上野介明智光秀石田三成たちでさえ、近年は肯定する説を目にすることが多くなったというのに、綱吉だけは全力でいつも否定されています。逆にあっぱれ。
私自身、あまり数学や天文学に詳しくないので、どうもいまいち春海と感動を分かち合えなかったのがちょっと惜しいかな。春海がすごく頑張っているのはわかるんですが、その辺りがちょっと眠かったかも。
でも、神道や当時の数学などのレベルを知ることができたのは楽しかったです。新鮮でした。


9月には映画化もされるそうですので、興味がある方はぜひ。新しい発見があると思います。



高柴