パラダイス・ロスト

高柴です


柳広司さんの「パラダイス・ロスト」を読みました。

パラダイス・ロスト

パラダイス・ロスト

大人気ジョーカー・ゲームシリーズ。私も好きです。今回は敵がわりとしょぼかった気もしますが、結城中佐をはじめどのスパイもひたすらかっこよかったです。
“死ぬな 殺すな 切り抜けろ”
“このくらいのことは自分に出来て当然だ”
かっこよすぎてどうしようかと思いますね。相変わらずテンションが上がる作品です。
収録されている話は「誤算」「失楽園」「追跡」「暗号名ケルベロス(前篇後篇)」
以下、軽く各話あらすじ。オチは書きませんが、ネタバレがイヤな方はご注意を。



「誤算」
フランスのパリで島野は一時的に記憶を失った状態にあった。そんな彼の目の前にいるのは3人のフランス人たち。彼らの話によると、島野はドイツ兵から老婆を庇おうとしてドイツ兵に殴られ、3人のフランス人たちに助けられたらしい。しかし3人のフランス人たちには秘密があり、彼らの隠れ家にドイツ兵たちがやってきて…


面白かったです。記憶を失った島野が次々に作戦をたて、切り抜けていくスピード感が爽快でした。あっという間に読み終わってしまったイメージ。



失楽園
シンガポールの超一流ホテルであるラッフルズ・ホテル。そこで英国人の遺体が見つかる。最初は事故かと思われたが、一人の女性が自首してきて事態は変わる。その女性の恋人の米海軍士官キャンベルは、恋人の無実を証明しようと一人で捜査を開始。英国陸軍大尉パーカーに疑いの目を向けるが…


目立たずに確実に目的を達成するスパイは怖いです。真実を悟ったキャンベルの独白にぞくぞくしました。



「追跡」
来日して10年になる英国人記者のプライスは、日本にD機関というスパイ組織があるらしいという話を聞く。彼はD機関を一人で作り上げた男“結城中佐”に興味を持つ。結城中佐の正体を探ろうと動いていたプライスは、妻の言葉をきっかけに結城中佐の“正体”に気付く。そして結城中佐をもっと知ろうとプライスは中佐を昔からよく知る人物に会いに行き、確信を深める。実はプライスと結城には意外な共通点があり…

これは文句なしに面白かったです。今回の中では一番好きです。結城中佐は本当に凄いとしか言いようがない。プライスの推理もなかなか興味深かったです。




「暗号名ケルベロス
サンフランシスコから横浜へ向かう日本の豪華客船「朱鷺丸」のなかで、内海はある男と接触する。実はその男は英国諜報機関の一員で暗号の専門家だった。内海が任務を完了させる直前、意外な邪魔が入る。内海は“どんな犠牲を払うことになったとしても”謎を解明することを決意する。


前後編なのでちょっと長め。内海は今までのD機関のスパイの中では明るめな性格。どこまで本人の性格かは分かりませんが。正体をばらしてからもよくしゃべっていたので、珍しいなぁと思っていたら珍しいラストだったのでちょっと納得でした。



中途半端なあらすじと感想になってしまいましたが、面白かったのでジョーカー・ゲームシリーズのファンにはオススメです。


高柴