夫が多すぎて
高柴です
サマセット・モームの戯曲「夫が多すぎて」を読みました。
- 作者: モーム,W.Somerset Maugham,海保眞夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 文庫
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すると意外と読みやすくて嬉しい誤算。
もうめちゃくちゃ面白かったです。サマセット・モームは皮肉とユーモアが絶妙です。皮肉は軽く、ユーモアは真面目くさって書くあの匙加減が大好き。
軽くあらすじ
時代は第一次大戦直後。美しく無邪気な女ヴィクトリアは、夫フレデリックから前夫ウィリアムが帰ってくると聞かされ仰天する。
前夫ウィリアムは3年前に戦死し、彼の喪があけてから夫の親友だったフレデリックと再婚した経緯があったのだ。
実はウィリアムの戦死は誤報で、当然ヴィクトリアのもとに帰ってくる。そして妻が自分の親友と結婚したことを知らされる。
ウィリアムとフレデリックは紳士らしく、潔くヴィクトリアの夫の権利を相手に譲ろうとする。そんな彼らをみて感激するヴィクトリア。
しかし、それはただの美談ではなかった。
ウィリアムとフレデリックは、美しく無邪気なヴィクトリアの凄まじい我儘ぶりに我慢の限界だったのだ。やっきになってヴィクトリアを押しつけ合う二人。そんな二人の夫にヴィクトリアはどちらとも別れて成金のペイトンと3度目の結婚をすると言い放つ。
ヴィクトリアは唖然とする夫たちに、離婚のために雇った弁護士を引き合わせる。弁護士から次々と屈辱的な指示を受けるが、離婚のためにも一切拒否を許されないウィリアムとフレデリック。
こうして稀な四角関係はこれまた稀なことにハッピーエンドを迎えるのだった。
みたいな話。
ウィリアムとフレデリックが必死すぎて爆笑。途中からかなりなりふり構わないかんじになってそれがまた笑えます。とことんヴィクトリアに振り回されて気の毒なのに、ひたすら受け入れて嘆かないのがいいですね。話のテンポが良くて勢いがあります。
夫たちをみんな愛していると主張するヴィクトリアが本当に愛しているのは自分だけというモームの皮肉が痛烈で、そこだけちょこっと考えさせられました。
ぜひ一度舞台で見たいなぁ。
高柴