乾山晩愁

高柴です


葉室麟さんの「乾山晩愁」を読みました。

乾山晩愁 (角川文庫)

乾山晩愁 (角川文庫)

短編集です。
表題の「乾山晩愁」は、尾形光琳の弟である尾形乾山
「永徳翔天」は狩野永徳
等伯慕影」は長谷川等伯
「雪信花匂」は狩野探幽の姪の娘である清原雪信を
「一蝶幻影」は英一蝶を主人公にそれぞれの時代背景も織り交ぜながら彼らの「絵」への思いや激しい地位争いを描いた作品。
御用絵師として確固たる地位を築いた狩野家を中心に書かれているのですが、御用絵師の地位がこんなに高かったとは知りませんでした。そしてこんなに仕事を独占していたとは意外でした。けっこう忙しかったんですね。
それぞれ生まれも立場も野望も性格も異なる5人の主人公たち。当然歩む道もバラバラで、それがとても面白かったです。みんな絵師という共通の生き方を選んでいるのに時代や立場でここまで違ってくるんだなぁと。
どの話も雰囲気が違って、短編集として非常に贅沢な一冊だと思います。



高柴