どくとるマンボウ青春記

高柴です


「どくとるマンボウ青春記」を読みました。

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

作者は先日亡くなった北杜夫氏。「どくとるマンボウ青春記」が面白いと聞き、探していたのですが在庫切れで手に入らず困っていました。
今回、北杜夫氏への追悼ということで新潮文庫がおそらく刷ってくれたのでしょう、今なら手に入ります。みなさんお早めに本屋さんへ。
というのも、これは読まなきゃ損!もうめっちゃくちゃ面白かったです。電車の中で何度も吹き出してしまって恥ずかしい思いをしました。
北杜夫氏の高校・大学時代の話なのですが、北氏がちょうど旧制高校に入学したのは終戦間際。つまり高校時代は戦後の混乱期で、日本中がどん底に貧しくひもじかったとき。しかし当時の高校生はたくましく愉快で聡明でとんでもないワルガキ(誉めてます)
私は女に生まれてなんの不満もありませんが、こういう男の子の桁外れな馬鹿騒ぎを読むたびにものすごく羨ましく思います。女でもやりゃよかったじゃないかと言われそうですが、女の子というのは基本的に真面目な生き物ですのでここまで羽目を外せないんですよね。
そもそも旧制高校という響きがカッコイイ。選ばれしエリートたちが集った場所ってかんじがします。
まぁ北氏の高校時代はまず食べ物の確保という切実でせっぱつまった第一目標のための奮闘がメインで戦前のようなエリートっぽさはあまりなかったようですが、それでも文章から伝わってくる雰囲気は確実に旧制高校の気風を継いでいるような気がします。とくにばっちいとことか!(誉めてます)
北氏の語り口調がまた素晴らしく面白い。飄々とした文章の中に当時の自分と仲間への愛情と苦笑がまざっていてこちらも温かい気持ちになったり大笑いしたり忙しかったです。あと、やたらお腹がすきます(笑)
とにかく愉快な一冊。オススメです。




高柴