室の梅 おろく医者覚え帖

高柴です


宇江佐真理さんの「室の梅」を読みました。

室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫)

室の梅 おろく医者覚え帖 (講談社文庫)

宇江佐さんの作品を読むのは初めて。
時代小説で江戸の「法医学者」が主人公。
「武器は華岡青洲に学んだ最新の医術!」
と、文庫の裏表紙に書いてあったんですが…コレ書いた人中身読んでないんじゃないの…?
まず華岡青洲の医術は事件解明にはまったく使われません。むしろ法医学もあんまり関係ありません。なんというか、言いにくいですがこの触れ込みのせいで期待していた分、ガッカリでした。


江戸時代の検視官が毎回同心や岡っ引きに依頼されて自殺か他殺か疑わしい遺体を調べたり、殺人事件についての助言をしたりするというストーリーなんですが、毎回犯人は最初からわかってます。容疑者=犯人なので。だから捕物帳と呼ぶにはなんだか抵抗があります。
検視官の妻は産婆さんで、夫婦で生と死を扱ってるという設定なんですが、むしろこの妻の仕事中の描写がうーん…生々しい…。出産の様子がかなり詳しく書かれていてうわあああ…。何度も出てくるわけじゃないので、私の過剰反応だと思うんですが衝撃的でした。
解剖とか死体とかそういう描写は平気な方なんですが、今回はなんかダメでした。奥さんの出産に立ち会って倒れる旦那さんもいらっしゃるとか聞きますし、やはりお産はある意味特別なのかも。
そんなわけで、とっても楽しみに読んだ反動でとってもテンションは下がった「室の梅」、くどいですが裏の宣伝文句がおかしいだけで、あれさえもっと正確に書かれていたらたぶん普通に楽しめたと思います。主人公もその妻も良いかんじでしたし。
あと華岡青洲についての記述や、彼の麻酔を用いた外科手術が当時の医術を学ぶ者たちをどれほど興奮させたかというくだりは非常に面白かったです。華岡青洲にも興味がわきました。
読みやすい文章でしたし、また宇江佐さんの作品は読んでみたいですね。




高柴