やなりいなり

高柴です


暑いですね。夏といえばコレ。しゃばけシリーズ最新刊!というわけで「やなりいなり」の感想です。ネタバレはほとんどありません。

やなりいなり しゃばけシリーズ 10

やなりいなり しゃばけシリーズ 10

今回は「こいしくて」「やなりいなり」「からかみなり」「長崎屋のたまご」「あましょう」の5編。各話の冒頭になぜか料理レシピが。でもあんまりおいしそうじゃなかったな…なんてことは言ってはいけないのかしら??まぁいいか。


珍しく若旦那が寝込んでいませんでした。元気というわけでもありませんでしたが。
今回は特に大事件は起こらず、いつも通り。前巻で「出会わなかったことになった」かなめさんの噂話を聞いて切ない気持ちになる若旦那にこちらも切なくなりました。そんな感じで前巻の影響も少し残っていました。


「こいしくて」は、長崎屋のある通町にたくさんの神や妖が集まってきて大混乱。その原因は?という話。神様がたくさん出てきて賑やかでした。

「やなりいなり」は、突然若旦那の離れに現れたちょっとマヌケな幽霊をどうにかする話。記憶を失い、長崎屋に強くひかれてやってきた彼の目的と周辺に現れた盗賊たちとの関係は?
幽霊が憎めなくて楽しかったです。おたえの守狐たちもすっかり離れの常連ですね。守狐が好きなのでたくさん出てきて嬉しい。あの子たちほんとにかわいい。
「からかみなり」は、いつも妖たちから軽く扱われている長崎屋主人の藤兵衛が3日間も行方不明になる話。当然心配するのは若旦那だけで、妖たちはおたえと若旦那さえ無事ならどうでもいい。あの藤兵衛への無関心っぷりが相変わらず愉快です。藤兵衛は妖たちのことをわかっていて知らん顔をしているのか気付いていないのか…。
藤兵衛とおたえの若いときの話が好きです。あれで藤兵衛とおたえを見る目が変わりました。不思議でかわいらしい夫婦ですね。
「長崎屋のたまご」は、空から不思議な玉が落ちてきて興味津々の鳴家たちから逃亡。それを鳴家が追いかけている間に玉を追う4人の魔が離れにやってきて…みたいな話。鳴家が大活躍する話ですね。
「あましょう」は、不意打ちでした。正直今回は地味な作品ばっかりだなぁと眠くなりながら読んでいたのですが、最後の「あましょう」で泣いてしまいました。これは泣く。
しゃばけシリーズではおなじみの展開です。不思議なことがあってその不思議なことを若旦那が推理して真相を知るというパターン。なんですが、いつも以上に伏線がち密でした。ああそうか…と、何度も頷きながら読みました。栄吉が出てくるのですが、彼の登場そのものが今回のお話の始まりだったんだなと、あとで思いました。栄吉の言葉もよかったです。友達っていいなぁとしみじみ思いました。


本当にいつも通りのしゃばけシリーズといった印象。レギュラー化しそうな濃い新キャラも出ませんでしたし、全体的な話が進むようなエピソードもなかったので、絶対読まなきゃ損というほどオススメはできませんが、「あましょう」は本当に良かったですよ。



高柴