ちよの負けん気、実の父親

高柴です



佐藤雅美さんの物書同心居眠り紋蔵シリーズ最新作「ちよの負けん気、実の父親」の感想です。

ちよの負けん気、実の父親 物書同心居眠り紋蔵

ちよの負けん気、実の父親 物書同心居眠り紋蔵

面白かったです。先日読んだ半次の最新作よりもずっと読みごたえがありました。
特に、「磔になる孕んだ女」という話はラストでぐっときました。あまり佐藤さんの本で泣くことはないんですが、珍しくホロリ。
「孰か微生高を直なりと謂うや」という話も佐藤さんらしくて好きです。孰か〜というのは論語で、できないことを見栄を張ってできると言ったりやろうとするのは正しいことではないというような意味なんですが、佐藤さんの考えに合っているんだろうなと思いました。
謎解きから人情ものまで、いつも通りいろんな趣向の話が揃えてあって、毎回話をおっていくのが楽しかったです。


前巻に引き続き金右衛門さんと娘のちよも登場。金右衛門さんの良い人っぷりとちよの生意気な小娘っぷりは健在。
そして今回のメインゲストとして珍しくバカじゃない女の子も登場しました。
佐藤さんって女嫌いなんじゃないかとたまに思います。だって出てくる女キャラで魅力的な人っていませんもの。活発な女性は生意気だったり馬鹿だったりで、性格の良い女性はなんか暗い人が多くて、可愛げのある聡明な女性を見かけた覚えがありません。今回のメインゲストのみわという少女も可愛げがあるとはいえませんでしたし。
男の人は渋かったり可愛げがあったり魅力的なのになぁと、一応女性のはしくれとしてはいつも少し残念。
残念といえば、最近主人公たちが
うん?
ってあまり言わない気がする。佐藤さんといえば
うん?
のイメージで、飄々とした文章によく合ってて好きだったんですが。飽きてしまわれたのかしら。


どのシリーズも少しずつメインキャラが増えてきて、賑やかになってきました。これからも楽しみです。




高柴