蛍火の社へ

高柴です


緑川ゆきさんの「蛍火の社へ」を読みました。秋に映画化が決定している作品です。
短編集で、春夏秋冬それぞれの季節の淡い恋のお話…かな。登場人物も場所も毎回違います。

蛍火の杜へ (花とゆめCOMICS)

蛍火の杜へ (花とゆめCOMICS)

以下あらすじ。ネタバレ含みます。


春の作品は「花唄流るる」
主人公の島は旧校舎から聞こえるギターの音色が気になっていた。ある日彼女は偶然そのギターの音色に同学年の藤村が関係していることを知る。彼は幼馴染で1つ年上の少女に旧校舎でギターを教えていたのだ。藤村はぶっきらぼうで近寄りがたい生徒だったが、根は優しい少年だった。島は少しずつ彼を知ってゆく。


夏の作品は表題作「蛍火の社へ」
夏休みに祖父の家に遊びに来ていた6歳の蛍は、妖怪たちが住むと言われる山神の森で道に迷う。そんな蛍を助けたのは、狐の仮面をかぶった不思議な少年ギンだった。彼は森にすむ妖怪のような存在で、人に触れられると消えてしまうと蛍に教える。蛍はギンに懐き、夏の間中彼のもとに通う。次の夏もその次の夏も。蛍は成長していくがギンは出会った時から姿が変わらない。決して触れないというただひとつの約束を守り続ける二人。そして蛍が高校生になった夏、彼女はギンのおいたちを知る。そして彼に誘われた妖怪たちの夏祭りで二人は別れの時を迎える。


秋の作品は「くるくる落ち葉」
元気いっぱいの女子高生椿は、幼馴染の楓を守ることを日課にしている。しかし楓は同い年の男子高校生であり、女の子の椿が無茶ばかりするのをいつも心配している。お互いを思いやりながら微妙にかみ合わない二人の恋の行方は?


冬の作品は「ひび、深く」
女子高生の律には2つ年上の兄がいる。兄妹はとても仲が良かったが、両親の離婚で離ればなれになる。しかし高校生になった二人に朗報が。両親が復縁することになったのだ。大好きな兄と再び一緒に暮らせることに喜ぶ律だが、実際8年ぶりに合うとどこかぎこちなくなってしまう。それは兄も同様のようで、二人はお互いに戸惑う。



どの作品もよかったですが、表題作の「蛍火の社へ」が一番好きです。ギンを慕う蛍がすごく可愛かったです。悲恋なんですけど、悲恋のような気がしないこの不思議さ。すごく納得できるラストでよかったと思います。
あとは「くるくる落ち葉」が可愛かったです。椿みたいなまっすぐでちょっとアホな子は見ていて楽しいし気持ちがいいですね。
私は緑川さんの作品は夏目友人帳しか知らなかったので、緑川さんのラブストーリーは新鮮でした。女の子もみんな素敵な子ばかりだったし、優しくて清々しい短編集だったと思います。




高柴