七回死んだ男

高柴です


最近なかなか良い推理小説に出会えず、久しぶりにこの前クリスティを買い、今日読み終えたのですがう〜ん。イマイチ。意外と昔買っていたクリスティは当たりばかりだったようです。昔の私スゴイな、代わりに選んでほしい(笑)きっと今よりクリスティに夢中になって選んでいたからでしょうね。
さて、そんなわけで外した本を紹介するわけにはいかないので、今日はちょっと変わったミステリを紹介します。
「七回死んだ男」作者は西澤保彦さん
これは…ジャンル何になるんだろう。SFっぽいミステリとでも言えばいいのかな。設定はSFなのですが、きちんとミステリです。西澤さんは、SF設定がお好きなようですが、いつもすごいなぁと思うのは「制約」のつけかたが上手い。主人公の特異体質や、特殊空間を設定し、その中で可能なことと不可能なことをきちんと分けるその分け方が絶妙だと思います。

七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)

この「七回死んだ男」の主人公は、本当にごく普通の男子高校生なのですが、彼はときどき時間の「反復落とし穴」とでもいうべきものにはまってしまう。そうなってしまうと、強制的にある1日が彼だけ9回繰り返されてしまうのです。そして9日目に起こったことだけが他の人たちの記憶に残る、つまり繰り返される9日間のうち、8日目まで毎日学校をさぼっても9日目さえちゃんと行けば誰にもばれないという仕組みになっています。
この話は、主人公の男の子の祖父が、主人公がこの落とし穴にはまった“2日目”に殺されるという異例の事態でスタートします。“2日目”で殺されたということは、主人公がなんらかの要因になったということ。なぜなら、1日目にあったことを動かせるのは主人公だけだからです。しかも容疑者は家族&親戚。主人公は9日目が来る前に殺人を食い止めようと孤軍奮闘するのですが…。という話。
一応事件が解決(?)した後、主人公が「あること」に気付きます。その瞬間、私はぞくっとしました。全然気付かなかったし、それまでの話がひっくりかえったからです。
まぁ、最後にちゃんとネタばらし(?)があるのですが、ちょっと読者にとってはずるいトリックですね。でも、気になる伏線がいくつも張ってあり、それらがすべて一気に回収される爽快感がとてもよかったので、面白かったです。
西澤さんの作品は、コレと腕貫探偵シリーズがすごく好きです。腕貫探偵モノは、短編集です。ミステリにあまり興味ない方にもオススメです。もちろん、ミステリ好きな方も楽しめると思いますよ。



高柴