劇場

高柴です


サマセット・モームの「劇場」を読みました。

劇場 (新潮文庫)

劇場 (新潮文庫)

モームの魅力が詰まった作品です。
あらすじは、
女優として成功したジュリアは、46歳という年齢を迎えてもまだ十分な美しさを保っている。夫は同じく俳優だが、なかなか頭の良い人物で劇場経営者としての才能を発揮している。そんなある日、ジュリアは劇場の経理を担当することになった若いトムという青年と出会う。ジュリアのファンだというその青年はジュリアに気に入られようと躍起になる。それを面白がっていたジュリアだが、だんだん彼女の方がトムに夢中になり、立場は逆転。トムはジュリアが自分に夢中なのをいいことに、勝手な振る舞いが増えていく。それに気付きつつも、彼に嫌われるのが怖くてなにも言えないジュリア。
しかし、トムの気持ちがある若い女優に向いていることに気付いたジュリアはやっと自分の愚かさに気付く。ジュリアを利用しようとした若者たちに、大女優のジュリアがやってのけた鮮やかな復讐とは?


ジュリアがすごい。私となにひとつ共通点がないのに、彼女の気持ちがめっちゃわかる。モームがすごいのか?
モームはなぜここまで女性の心を鮮やかに描くことができたんだろう。女性への愛情と尊敬を感じる男性作家ですね。モーム大好き。
トムを若いだけの女に取られてからのジュリアの復讐が見事すぎて笑ってしまいます。スカッとしました。ちょくちょく入る彼女の考え方とか、物事の見方も好きです。第一印象は絶対に友達になれない女、なイメージのジュリアですが、読み終わるころには彼女のファンになっていました。
モームが好きな人におすすめ。人の心の動きを丁寧に描いた作品です。面白かったです。