先生の隠しごと―僕僕先生

高柴です


仁木英之さんの僕僕先生シリーズ第5巻「先生の隠しごと」の感想です。

先生の隠しごと―僕僕先生

先生の隠しごと―僕僕先生

白鶴から借りて読み始めた僕僕先生シリーズ。読みやすいのか読みにくいのかよくわからない不思議な文章ですが仙人とか神様がうろうろしている唐の時代の中国が舞台のファンタジーというのは好みです。設定の勝利なパターンですね。
前作の「さびしい女神」は王弁が主役でしたが、この「先生の隠し事」はみんなまんべんなく出てた印象。
あらすじは
蚕嬢たちの呪いも解け、峰麓両国は活気を取り戻していた。そんななか、蚕嬢こと碧水晶と茶風森の結婚が決まる。しかしそのめでたい婚礼の席に突然「理想郷」の使者が現れる。
僕僕の意向で一行は闖入者の国「ラクシア」へ向かう。ラクシアはカリスマ性を持つ若き王「ラクス」が導くすべてが平等で諍いが存在しない「美しい」国だった。
王弁たちはラクシアに漂う不自然さに戸惑うが、僕僕はラクスに興味を持ち、なんとラクスの求婚を受け入れて妻となる。
激しく落ち込む王弁を尻目に劉欣は黙々と調査を進め、ラクシアの「影」に気付く。薄妃はラクシアまでの旅の途中で知り合った少女蒼芽香とラクシアの少女たちのために綺麗な衣を作り華美を嫌うラクスの部下たちに目をつけられ反発する。
いつまでも一人うじうじしていた王弁は、劉欣に無理やり目を覚まさせられて自分のできることをやろうと決意する。
一方ラクスに懐かしい人の気配を感じる僕僕は珍しく心を揺らしていたが…。
一見バラバラだけどしっかりまとまっている僕僕一行が大活躍。新たに蒼芽香という根性のある少女も加わり、王弁の序列がめでたくまたひとつ下がりました。


前作でちらりと垣間見えた僕僕先生の過去がテーマのひとつになっていました。
個人的には前作のほうが好きです。一気に読めたような気がします。今作は読んでいても気が散ってしまって…。ひとつひとつのエピソードは面白かったと思うのですが、全体的な引力は弱かったかな。
ラクシアのそこはかとない不気味さはよく伝わってきましたが、こういうモヤモヤした不穏さが漂う話ってストレスたまるんですよね。
王弁が七転八倒する姿を笑いながら眺めるのが好きな私としては、あんまりスッキリ楽しめなかったかなぁ。
まぁそんなわけで、このシリーズのファンの方は読んで損はないと思いますよ。少しだけ僕僕先生の過去が明らかになりますし、仲間も増えましたから。蒼芽香ちゃん。かなり好みです。




高柴