ウランバーナの森

高柴です


奥田英朗さんの「ウランバーナの森」を読みました。
奥田さんの処女作なんですね。なんかわかるかも。ちょっと伊良部シリーズを思い出させます。

ウランバーナの森 (講談社文庫)

ウランバーナの森 (講談社文庫)

あらすじは
超有名ポップスターのジョンはいつものように夏を家族で軽井沢で過ごしていたが、家族との楽しい時間は原因不明の便秘で暗転する。
妻の薦める病院に通院しだしたジョンはその帰り道、過去に自分が傷つけた人々の幽霊と遭遇する。しかしその出会いは過去の自分の後悔をひとつずつ解消していくものだった。便秘は治らないが幽霊たちとのやりとりはジョンの心の傷を癒していく。そうしてジョンはあることに気付くのだった。


みたいなかんじです。ジョンが自分が傷つけた人の幽霊に苦しめられるのではなく、救われるという展開が良いです。
お盆の雰囲気を上手に使っていましたね。ジョンは外国人ですが。どこまでが本当でどこまでが幻覚なのかわからない。こういう曖昧さがすごく好きです。奥田さんの他の作品に比べるとギャグとかオチの完成度は少し下がるような気はしますが、その後の奥田作品の原点をみたような気がして興味深かったです。
モデルとなった某世界的スターのジョンはすぐに殺されてしまうわけですが、願わくばこの物語のジョンには違う結末が用意されていますように。



高柴