サハラ砂漠の秘密

高柴です



先日オープニングをベタ褒めしていた「パタパタ飛行船の冒険」の原作のひとつであるジュール・ヴェルヌの「サハラ砂漠の秘密」を読みました。結局、あの記事を書いてすぐに買いにいったのです。こういうことにだけ素早い私。

サハラ砂漠の秘密 (創元SF文庫)

サハラ砂漠の秘密 (創元SF文庫)

やっぱりヴェルヌって面白いですね!あの荒唐無稽さを大人になった今でも楽しめるだろうかと思っていましたが、十分楽しめました。

ストーリーは、
イギリスの名門貴族バクストン家の長男ジョージ・バクストン大尉は、アフリカでの任務中に反逆罪を犯して銃殺される。悲しみと失望に包まれるバクストン家。しかし末娘のジェーンは敬愛する兄の潔白を固く信じていた。そして、さまざまな準備を終えたジェーンは、20歳近く「年上」の「甥」であるサン・ベランを従えて兄とバクストン家の名誉を回復するため、アフリカの奥地に赴く。
たまたまフランスの調査団が途中まで同じルートを辿ることを知った2人は、ジェーンの本名を伏せて同行を依頼し、許可される。
完璧な装備を持つ一行は、何度か不穏な気配を感じながらも順調に旅を続けるが、調査団が二手に分かれた直後から、ジェーンが同行したバルサック団のほうは次々に災難に見舞われる。それでも我慢強く旅を続けていくが、とうとう調査団を警戒する「ハリー・キラー」という人物の命令で彼の支配する土地「ブラックランド」へ一行は誘拐される。
「ブラックランド」は、周辺の黒人たちを奴隷として無理やり働かせ、天才科学者カマレ博士の未来的で強力な武器を用いて犯罪を重ねるおそろしい「国」だった。当然、どの国の政府もこの未開の砂漠のど真ん中にできた国のことを知らない。ハリー・キラーは、バルサック調査団をブラックランドを調べに来たスパイだと勘違いして彼らを誘拐したらしいが、誤解に気付いたからといって彼らを帰すわけにはいかない。ブラックランドを生きて出た者は一人もいないのだ。そうしてブラックランドは秘密を守ってきたのである。
バルサックたちはなんとか逃げ出そうとするが失敗し、その結果偶然カマレ博士と出会う。危うい精神バランスをギリギリのところで保つ天才科学者は、なんとハリー・キラーが重ねている犯罪行為をまったく知らなかった。自分の研究が犯罪に汚されていることを知って驚愕し、怒った博士は、バルサックたちの逃亡に手を貸すことを約束する。
そして、ハリー・キラーの勢力とカマレ博士たち技術者の戦いの末、カマレ博士はとうとう精神を病み、ブラックランドすべてを、つまり彼の作品すべてを壊すことを決意する。
バルサックやジェーンは無事にブラックランドから逃げることはできるのか?
ジョージの身にいったい何が起こったのか?彼の汚名をそそぐことはできるのか?
ハリー・キラーとは何者なのか?
などなど、いろんな冒険と謎が盛りだくさん。
最初は読みづらかったのですが、途中からどんどん面白くなってきました。
うっかり屋のサン・ベランが楽しく、ヴェルヌらしい軽妙で機知に富んだ会話が愉快です。
しかし、ヴェルヌを読むたびに、彼をこの現代に連れてきてあちこち案内できたらどんなに面白いだろうと想像します。おそらく、彼はそんなにびっくりはしないと思うんです。ただ、大喜びすると思います。
こういうことが可能だと思っていたよ!
と。そして、私みたいに仕組みをうまく説明できない人間を叱りとばすでしょうね(笑)
ヴェルヌは、この科学の発展に満足してくれるでしょうか。それとも彼が予想した以上の恐ろしい武器を科学が作り出したことに失望するのでしょうか。
私にはわかりませんが、自分の想像した未来の発明までもが古くなったこの21世紀でも、自分の作品が変わらず世界中の人々から愛されていることを知れば、嬉しく思ってくれるのではないでしょうか。

それにしても…パタパタ飛行船の冒険の脚本はなかなか見事でしたね。あのアニメは「悪魔の発明」と「サハラ砂漠の秘密」の2作品から作ったオリジナル作品なんですが、無理なく自然に繋げていて感心しました。「悪魔の発明」はあらすじだけ読んで
コレは無理だわ…
と断念したのですが、パタパタ飛行船の冒険は設定や登場人物、大まかなストーリーは「サハラ砂漠の秘密」からとり、細かい設定や小道具、そしてラストシーンを「悪魔の発明」からとったようです。あと、子供向けとしてジェーンの年齢を20代から10代に変えて、サン・ベランの設定も子供に変更しているのと、出てくる黒人奴隷たちを国籍不明に変えています。
現在キッズステーションで再放送中です。残り少ないですが、気になる方はチェックしてみてください。そして私は忘れずに一度オープニングを録画しなくては。




高柴